窒素、リン酸、カリ。肥料の話をするとき、この3要素で語ることが多いと思います。
ですが、窒素には実は「形」があります。アンモニア態と硝酸態、この2つです。そしてイチゴは、栽培のステージによってこの2つの形を欲しがる割合が変わることが、研究で分かっています。
今日はこの話をお伝えします。
窒素には2つの形がある
まず基本のおさらいです。植物が根から吸収する窒素には、アンモニア態窒素と硝酸態窒素の2つの形があります。土の中に入った窒素肥料は、微生物の働きによって最終的にこの2つの形に変わってから、根に吸収されます。
アンモニア態は、吸収されるとすぐに根でアミノ酸に変換されます。窒素同化にかかるエネルギーが少なく、効率が良いのが特徴です。一方、硝酸態は体内で還元される過程が必要で、その分エネルギーを使います。
「じゃあアンモニア態の方がいいのでは」と思うかもしれませんが、話はそう単純ではありません。
栽培ステージで好みが変わる
ここからが今日の本題です。海外の研究で、イチゴを栽培ステージ別に、アンモニア態と硝酸態の比率を変えて育てる実験が行われています。その結果、こんな傾向が分かっています。
栄養成長期:アンモニア態を求める
苗が葉や根を伸ばしている栄養成長期は、アンモニア態窒素をより必要とすることが分かっています。ある実験では、この時期にアンモニア態100%の溶液で育てた株が、最も葉の面積や重量を増やしました。
開花期・結実期:硝酸態を求める
開花期・結実期に入ると、今度は硝酸態窒素を好む傾向に変わります。ある研究では、アンモニア態25%・硝酸態75%の比率で育てたイチゴが、最も光合成速度が高くなり、収量も最大で8割以上増加したというデータもあります。
⚠ 結実期に注意したいこと
結実期にアンモニア態の比率を上げすぎると、カルシウム濃度が下がり、日持ちも悪くなることが分かっています。カルシウム不足によるチップバーンにも、この窒素バランスが関わっている可能性があります。
なぜこんな違いが生まれるのか
理由はいくつか考えられます。
1. 他の養分と拮抗関係にある
アンモニア態・硝酸態はどちらも陽イオン・陰イオンとして働くため、他の養分の吸収と拮抗関係にあります。特にアンモニア態が多いと、カルシウムやカリウムの吸収が妨げられやすくなります。結実期はカルシウムが特に必要な時期なので、この時期にアンモニア態が多いと不利に働きやすいわけです。
2. エネルギー効率の違い
栄養成長期は根や葉をどんどん作る時期なので、エネルギー効率の良いアンモニア態が向いています。一方、結実期は光合成も安定してくる時期なので、多少エネルギーを使っても他の養分とのバランスが取れる硝酸態が有利になる、と考えられます。
高設栽培での実践に向けて
ここで一つお伝えしておきたいことがあります。今回ご紹介したデータは、水耕栽培での実験結果です。高設栽培は水耕とは違い、培地を使うため、微生物の働きなど土耕に近い要素も関わってきます。ですので、数字をそのまま当てはめるというより、「ステージによって窒素の形を見直す」という考え方として捉えていただくのが良いと思います。
QS-BH1・BH2の比率を栽培ステージで変えるという、以前お伝えした話とも、この窒素形態の使い分けは重なる部分があります。実はQS-BH1はアンモニア性窒素が優位(7.9%>4.1%)、QS-BH2は硝酸性窒素が優位(8.7%>2.3%)という設計になっています。栄養成長期はリン酸重視のBH1を、結実期はカリ重視のBH2を、という使い分けと合わせて、窒素の形にも意識を向けてみてください。
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まとめ
- ✅ 窒素には、アンモニア態と硝酸態という2つの形がある
- ✅ 栄養成長期はアンモニア態を、開花期・結実期は硝酸態を、イチゴはより必要とする傾向がある
- ✅ 結実期にアンモニア態が多すぎると、カルシウム不足や日持ちの低下につながる可能性があるので注意
今日お伝えした内容を実際にやってみて、判断に迷うこともあると思います。
そんな時は無料相談も承っています。
それでは、次回の記事でお会いしましょう。QS agriの桜間でした。

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